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GAME-Information
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近年ではゲームエンジン「Unity」が代表するように、安価で高機能なゲーム開発環境が得られるようになり、個人制作のゲームの高品質化が進んでいる。その一方で、人を感動させる画期的なアイディアのゲームに見つけることは、多数のゲームが溢れかえるようになった現在、むしろ難しくなっているのかもしれない。

そうした個人制作のゲームに光を当てるイベントが「センス・オブ・ワンダーナイトだ。
東京ゲームショウ期間中に毎年開催され、今年6回目の開催となる。本イベントは、“見た瞬間、コンセプトを聞いた瞬間に、誰もがハッと、自分の世界が何か変わるような感覚”=「センス・オブ・ワンダー」を引き起こすようなゲーム作品を集め、品評し、広く紹介することを目指している。

イベントが継続的に続けられていることもあり、近年ではこの「SOWN」の出展を目指してゲームを開発する人も増えているようだ。過去の出展作品の中にはその後製品化を果たしたものも多く、いわばインディーズの登竜門として広く認知されるようになってきた。

その中で今年は9つの作品がプレゼンテーションされた。傾向としては、非常に個人的な感情や思考をつぶさに反映した作品が多く、いわばパーソナルなゲーム作品が増えているようだった。
個人的な体験を他と共有するためのツールとしてのゲーム開発、これが世界的に新しい表現の方法として浸透していくのかもしれない。

■ 「TSURI」── 雑魚雑魚/日本(Best Presentation Award)

3年連続の出場を果たし「そろそろ審査員にしてください」と主張する同人ゲーム開発チーム雑魚雑魚は、今年もネタ豊富なプレゼンで会場を沸かせた。肝心のゲームの方は、なんと、プレイしないゲーム。その名も“TSURI”。

アプリを起動すると釣りシーンが始まる。次にやるのは、アプリを終了すること。“TSURI”のことなんて忘れて日常に戻り、人生を楽しむ。そして忘れた頃に“TSURI”を起動すると……何かが釣れているという塩梅だ。

というわけで、もちろん放置した時間に応じて釣果が変わる。1時間後に起動すると、120cmのマグロ。
5日後に起動すると、1,800cmのザトウクジラをゲット。そして1ヶ月後に起動すると……伝説の巨大ロボ(10,500cm)をゲットだ! 釣れたからといって何がどうなるわけでもないが。

雑魚雑魚メンバーはゲームプレイのデモンストレーションと称して「パズドラ」で遊び始めたり、カップ麺を作り始めたり、会場の同時通訳スタッフいじりを始めたりと完全に脱線したままゲームを再起動することなくプレゼン終了。会場のウケをとってBest Presentation Awardを受賞した。いや、まあそれはゲームを披露するイベントでどうなんだと思う部分がないわけでもないが、確かに面白かった。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/20.jpg

GAME Watch(一部略)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20130921_616406.html
センス・オブ・ワンダーナイト
http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2013/exhibition/exhibit/sense.html

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■ 「KYOTO」── Eddie Lee(Funktronic Labs)/日本(Best Art Award)

カルフォルニア出身で京都のゲームデベロッパー、キュー・ゲームスに勤めた経験もあるインディーズ開発者、Eddie Lee氏は、自らのパーソナルな感動をインタラクティブ・アート化したゲーム「KYOTO」を披露した。

Lee氏は始めて来日し際、アメリカ西海岸とは全く違った京都の姿に深い感銘を受けたという。
ある日桜の咲く公園で夜空を見上げていたときに、得も言われぬ感動に襲われ、帰国後それをLee氏なりの形であらわしたのがこの作品だ。

本作はゲームというよりアートそのもの。シルエットと光で表された桜の木や、それが映る水面、明るく光る月、周囲を飛び回るホタルが印象的に描かれ、マウスでなぞることで様々な美しいエフェクトが発生する。アンビエント系の音楽も連動していて、極めて繊細な雰囲気を湛えている。

見ているだけでも何か心をゆさぶる趣があり、Best Art Awardを受賞するにふさわしい美しさだった。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/25.jpg

■ 「Mirage」── Mario.von Rickenbach / スイス(Best Experimental Game Award)

スイスのインディーズ開発者Rickenbach氏が披露したのは、謎のシルクハット生物が生物的な進化を遂げつつ、世界を探索してポップコーンを食べていくという超シュールなゲームだ。

ゲームはシルクハットだけの状態からスタート。世界にはいろいろな体のパーツが転がっていて、まず「足」を見つけると自在に移動できるようになる。まだ世界がぼやけて見えるので、次は「目」を獲得。すると、周囲に漂うポップコーンが見えるようになる。次はそれを食べるための「口」だ。

こうしてシルクハットはパーツを付け加える度にあらたな能力を獲得していき、探索する世界を海の中から空、やがては宇宙にまで広げていくという流れだ。シュールレアリスム的な映像に合わせて超オシャレなスムースジャズがBGMとして流れ、なんだか不思議に癒される。

足や目や口という、説明不要でその機能がわかるパーツでゲームプレイが広がっていくという点が好意的に受け入れられ、実験的ゲームとして最高の評価を受けた。この仕組みは言語を超えるゲームの実現に重要であったことはもちろんだが、同じ概念でさらにゲームのアイディアを広げていくこともできそうだ。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/34.jpg

■ 「Museum of Simulation Technology」── Albert Bor Hung Shih / アメリカ合衆国(Best Technological Game Award/Audience Award)

カーネギーメロン大学、エンターテイメントテクノロジーセンターに所属するHung Shih氏はとてもシャイな性格なようで、ガッチガチに緊張して言葉を途切れさせながらも、来場者の度肝を抜くようなすごいゲーム作品を見せてくれた。

本作でフィーチャーされたのは「強制遠近法」という概念。遠くにある巨大な構造物を指でつまんでいるような写真など、一種の錯視現象を作るトリックアートの手法だ。

FPS風のインターフェイスで操作する本作では、ゲーム内にある様々なオブジェクトをつまんで移動させることができる。その際、風景のどこにオブジェクトを移動させるかで、そのオブジェクト自体の大きさが変わってしまうのだ。

例えば遠方にある巨大な塔をつまんで、ぐるりと回って横にあるテーブルの上に置くと、チェスの駒と同じようなサイズになる。逆に、チェスの駒をつまんで、ぐるりと遠方の風景の方に置くと、さきほどのタワーのように大きくなるのだ。

これは、物体を、その奥にある壁などの障害物にギリギリぶつかる大きさに自動的にスケーリングするという手法で実現されている。とても不思議な感覚ながら、コントロールは実に直感的。
これを使ってステージ内のどこかにあるゴールを目指すというのが本作のシステムなのだ。

最初の方のステージでは、小さなブロックを空に向かって置き巨大化させ、橋のように使って先に進むといった簡単な解法だ。これが先に進むと様々な工夫が始まり、例えば空に浮かぶ月をつまんで壁際におくと、裏側にゴールがあったりと驚きの連続だ。

入り口と出口が対になっている2つのポータルを使うと、自分自身をスケールすることもできる。
これを利用して巨大化、最初は見えなかった世界の向こう側を見るとゴールが見つかるという仕組みには集まった来場者も度肝を抜かれ、「オオ~」というどよめきが起こるほどだった。

本作がBest Technological Game Award および「SOWN」の大賞でもあるAudience Awardという2部門の受賞に輝いたのは、まさにこの機知に富んだゲームプレイメカニクスによるものだ。
筆者としては、空間パズルFPS 「Portal」を始めて見た際の驚きに似た衝撃を本作から受けた。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/53.jpg
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/54.jpg

■ 「Lost Toys」── Danielle Marie Swank(Barking Mouse Studio) / アメリカ合衆国(Best Design Award)

直感操作の非言語インターフェイス、ゲームの目的も自ずとわかるというテーマに即した作品を開発したのは、インディーズ開発者Danielle Marie Swank氏らのチーム。本作「Lost Toys」では幻想的な映像を使ってプレーヤーの関心や、プレイの誘導にうまく繋げる手法を積極的に取り入れている。

ゲームのゴールは、ステージ内にある、最初は何なのかよくわからない灰色のオブジェクトを本来の姿に戻すこと。オブジェクトはルービック・キューブ的な構造をもっていて、適切に回転させることで解くというシンプルなルールだ。

本作ではそこに独特のあーとスタイルを持ち込んでいる。木製のオモチャのような外観は、それが直接手で触れるべきものであることを示す。操作中のオブジェクトは被写界深度表現によりフォーカスされ、ゲームプレイの主眼が暗示される。ゲーム画面にひとつの文字もないが、誰もがプレイできるゲームなのだ。

本作はこの印象的な画面デザインがゲームプレイにリンクしている点を評価され、Best Design Awardを受賞。子供向けの知育ゲームとしてもよさそうだし、大人がリラックスするためにプレイするのもよさそうだ。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/57.jpg
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■ 「KYOTO」── Eddie Lee(Funktronic Labs)/日本(Best Art Award)

カルフォルニア出身で京都のゲームデベロッパー、キュー・ゲームスに勤めた経験もあるインディーズ開発者、Eddie Lee氏は、自らのパーソナルな感動をインタラクティブ・アート化したゲーム「KYOTO」を披露した。

Lee氏は始めて来日し際、アメリカ西海岸とは全く違った京都の姿に深い感銘を受けたという。
ある日桜の咲く公園で夜空を見上げていたときに、得も言われぬ感動に襲われ、帰国後それをLee氏なりの形であらわしたのがこの作品だ。

本作はゲームというよりアートそのもの。シルエットと光で表された桜の木や、それが映る水面、明るく光る月、周囲を飛び回るホタルが印象的に描かれ、マウスでなぞることで様々な美しいエフェクトが発生する。アンビエント系の音楽も連動していて、極めて繊細な雰囲気を湛えている。

見ているだけでも何か心をゆさぶる趣があり、Best Art Awardを受賞するにふさわしい美しさだった。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/25.jpg

■ 「Mirage」── Mario.von Rickenbach / スイス(Best Experimental Game Award)

スイスのインディーズ開発者Rickenbach氏が披露したのは、謎のシルクハット生物が生物的な進化を遂げつつ、世界を探索してポップコーンを食べていくという超シュールなゲームだ。

ゲームはシルクハットだけの状態からスタート。世界にはいろいろな体のパーツが転がっていて、まず「足」を見つけると自在に移動できるようになる。まだ世界がぼやけて見えるので、次は「目」を獲得。すると、周囲に漂うポップコーンが見えるようになる。次はそれを食べるための「口」だ。

こうしてシルクハットはパーツを付け加える度にあらたな能力を獲得していき、探索する世界を海の中から空、やがては宇宙にまで広げていくという流れだ。シュールレアリスム的な映像に合わせて超オシャレなスムースジャズがBGMとして流れ、なんだか不思議に癒される。

足や目や口という、説明不要でその機能がわかるパーツでゲームプレイが広がっていくという点が好意的に受け入れられ、実験的ゲームとして最高の評価を受けた。この仕組みは言語を超えるゲームの実現に重要であったことはもちろんだが、同じ概念でさらにゲームのアイディアを広げていくこともできそうだ。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/34.jpg

■ 「Museum of Simulation Technology」── Albert Bor Hung Shih / アメリカ合衆国(Best Technological Game Award/Audience Award)

カーネギーメロン大学、エンターテイメントテクノロジーセンターに所属するHung Shih氏はとてもシャイな性格なようで、ガッチガチに緊張して言葉を途切れさせながらも、来場者の度肝を抜くようなすごいゲーム作品を見せてくれた。

本作でフィーチャーされたのは「強制遠近法」という概念。遠くにある巨大な構造物を指でつまんでいるような写真など、一種の錯視現象を作るトリックアートの手法だ。

FPS風のインターフェイスで操作する本作では、ゲーム内にある様々なオブジェクトをつまんで移動させることができる。その際、風景のどこにオブジェクトを移動させるかで、そのオブジェクト自体の大きさが変わってしまうのだ。

例えば遠方にある巨大な塔をつまんで、ぐるりと回って横にあるテーブルの上に置くと、チェスの駒と同じようなサイズになる。逆に、チェスの駒をつまんで、ぐるりと遠方の風景の方に置くと、さきほどのタワーのように大きくなるのだ。

これは、物体を、その奥にある壁などの障害物にギリギリぶつかる大きさに自動的にスケーリングするという手法で実現されている。とても不思議な感覚ながら、コントロールは実に直感的。
これを使ってステージ内のどこかにあるゴールを目指すというのが本作のシステムなのだ。

最初の方のステージでは、小さなブロックを空に向かって置き巨大化させ、橋のように使って先に進むといった簡単な解法だ。これが先に進むと様々な工夫が始まり、例えば空に浮かぶ月をつまんで壁際におくと、裏側にゴールがあったりと驚きの連続だ。

入り口と出口が対になっている2つのポータルを使うと、自分自身をスケールすることもできる。
これを利用して巨大化、最初は見えなかった世界の向こう側を見るとゴールが見つかるという仕組みには集まった来場者も度肝を抜かれ、「オオ~」というどよめきが起こるほどだった。

本作がBest Technological Game Award および「SOWN」の大賞でもあるAudience Awardという2部門の受賞に輝いたのは、まさにこの機知に富んだゲームプレイメカニクスによるものだ。
筆者としては、空間パズルFPS 「Portal」を始めて見た際の驚きに似た衝撃を本作から受けた。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/53.jpg
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/54.jpg

■ 「Lost Toys」── Danielle Marie Swank(Barking Mouse Studio) / アメリカ合衆国(Best Design Award)

直感操作の非言語インターフェイス、ゲームの目的も自ずとわかるというテーマに即した作品を開発したのは、インディーズ開発者Danielle Marie Swank氏らのチーム。本作「Lost Toys」では幻想的な映像を使ってプレーヤーの関心や、プレイの誘導にうまく繋げる手法を積極的に取り入れている。

ゲームのゴールは、ステージ内にある、最初は何なのかよくわからない灰色のオブジェクトを本来の姿に戻すこと。オブジェクトはルービック・キューブ的な構造をもっていて、適切に回転させることで解くというシンプルなルールだ。

本作ではそこに独特のあーとスタイルを持ち込んでいる。木製のオモチャのような外観は、それが直接手で触れるべきものであることを示す。操作中のオブジェクトは被写界深度表現によりフォーカスされ、ゲームプレイの主眼が暗示される。ゲーム画面にひとつの文字もないが、誰もがプレイできるゲームなのだ。

本作はこの印象的な画面デザインがゲームプレイにリンクしている点を評価され、Best Design Awardを受賞。子供向けの知育ゲームとしてもよさそうだし、大人がリラックスするためにプレイするのもよさそうだ。
http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/616/406/57.jpg
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